27・3・8
ジャックラッセルが昨夜死んだ。十四才で犬としては長生きの方であったろうが、いつも家の中にいたものがいなくなるというのは何と言っても淋しいものである。
長いこと飼っていたアプリコット・プードルが十八才で死んだ時、もう悲しい思いをしないように犬を飼うのは止めよう、と家人と言い合って七、八年間一匹もいなかったが、その中知っている人から話があって、やっぱり飼うかと言ってかったのか、この犬であった。
ジャックラッセルは初めてであった。小さいが白に茶色のブチの姿は綺麗であった。名前は何とする、となっていろいろ案が出たが、イタリア語の小さいという意味の「ピッコロ」に落ち着いた。「ピッコロ」「ピッコロ」と呼んでいるうちに、「ピコ」になり、「ピーコ」になってきたが、とに角ジャックラッセルにしては脚が長く、ちょっとシェットランドみたいな形の小ささであった。
長いこと愛情の対象をひとり占めにしていたが、三男の家に女の子が生れてからは、その子が家に来るとやきもちを焼くのか、吠えたり、噛んだりして目が離せないこともあった。大分おとなになっておとなしくなったな、と思ったが、突然の死である。
獣医さんに診てもらっていたが、今度よく調べて貰ったら、肝臓、肺臓、腸など癌にやられていて、所詮寿命だという感じだったので、もう余り苦しまないようにしてやって欲しいと言っておいたところであった。
生き物の死は悲しい。
シェパード、ボルゾイ、雑種、柴犬、シェットランド、テリア、プードルなどと犬の種類は変って来たが、何かの犬はいたわが家だけに、この空母慮は何時まで続くか疑わしいが、しばらくは犬の吠える声はきけないであろう。
電話がかかったり、宅急便のベルにやかましかった吠え声は今はない。