27・2・28

 諸井薫のエッセイ集である。彼と会わないようになってさあ三十年近く経っているであろう。

 夫であり、父であり、時には娘の恋人のような存在になったりもする男の様々な面における心の在り方を描いて頁をめくるのが楽しかった。

 思ったことをそのまゝに言い表すチョツと前にとどまるところに魅力と歯がゆさがある。が、これぐらいがいいのかしらと思う。