26・12・19

 ポール・ヴェルレーヌの「雨」の詩である。

 初めはまことに心ならずも、そして次は心から愛して三人の男と体の関係をもった美しい女性をとりまく人間模様で、大へん馴れたペンの走りである。馴れ過ぎたような分だけ軽い筆となっている。

 終りの方は飛ばして読んでもいいような気になって、事実そうしたが、頭が疲れた時など、さて次はどうなるかな、などと思いながら筋を追って読むには恰好の藤沢桓夫の一冊である。