26・11・30

 艶歌に身心つかっているレコード会社の最古参のディレクター高円寺竜三がマスコミ企業のドンジュアンと言われた黒沢正信にそれぞれ新曲を掲げての激烈な戦いに破れ、大好きな競馬を追って焏館にすみつくが、その後今一度チャンスを得て艶歌「旅の終りに」を暴発的にヒットさせ、再びボストンバック一つにゴム長の姿で焏館へ戻るという物語である。

 何となしにペーソスのあふれる筋書となるところが五木寛之流であって、人を引きつけるものがある。