26・11・15

 常盤新平のエッセイ集である。「遠いアメリカ」で直木賞を受章した作家でアメリカの作家のものの飜訳家からスタートした人で、久しぶりに読んだ。 

 日記帳みたいに日々の事を気おいもなく採り上げて綴った文章で、頭をひねることもなく、気おいもなく読める一冊である。二〇年も前に買って積んでおいた本で、とり上げたらすらすらと一気に読んだ。

 講演などであちこち出あるいた先の土地の、結構食べることにこだわった記述が多いので、知ったところもあり、なかでも稚内の街のバーなどで飲んだ話は、私も一晩、そう言っては悪いが、思いがけなく立派な、銀座を思わすようなバー街で三、四軒廊下トンビをしたことを思い出して大へん懐かしく思った。