常盤新平の本で裏を見たら六十三年一月二日に買っている。四半世紀も経つ。
読み始めたら、大学を出たが、アメリカのペーパーバックにとりつかれ、スージー・パーカーなる女優だけが気に入っているという三十男がやっと「逃げだした金髪」という小説を訳して出版できるという物語り。
椙枝なる心優しい変人がいて、とかくくじけそうになる彼をはげましてくれるという純愛物語りだが嫌味でないのがいい。珍しく素直な気持で読める一冊である。
著者の自画像がいくらか入っているのかな、と思う。
この小説には私におまけがあった。というのは、アメリカへきた貧しい移民たちは多くは自分の生年月日もわからなかったらしい。「移民局の役人たちはそういう無知な移民たちの生年月日を七月四日にしたという。その日はアメリカの独立記念日である。ギャングのことを書いた本によると、七月四日生れのギャングスターが多い。」(原文を引用)
ちなみに私の誕生日は七月四日。おまけに出生地は宇佐である。即ちUSA。偶然の一致である。