26・9・12

 幕末、西郷・勝の腹芸で江戸無血開城が決った頃の物語である。

 二百余年の大平の世に知らず知らずの中に食いつめた旗本八万騎の一人、六兵衛に大枚をはたいてなり代わった侍が最後まで江戸の御城の警備に当たるという、という筋だけ聞くと詰らないが、まァ一読の価値はある。浅田次郎の時代物の一篇である。