26・5・17

 北原亜以子の爽太捕物帖の一巻である。江戸下町に住み十三河の主人爽太は鰻屋の若主人であるが、鰻を未だにうまくつかまえられない程度の腕であるが、定町回り同心朝田主馬に雇われて十手をあずかっている。

 時にその十手を握ってのお役目御苦労の物語りであるが、切ってはったよりも市井の愛憎のからむ事件を解決する、言ってみれば小型の遠山の金さんみたいな爽太の活躍を描いている。佳作。直木賞作家である。