栃木県の那珂川町では、温泉を使ったトラフグの養殖をしているし、宮崎県の綾町では海水と淡水とを混ぜた汽水を使ってヒラメの養殖を始めたという。
海面養殖はまぐろ、ひらめや海藻類も含めて広く行われているし、昨年で生産量は約一〇〇万トンになっている。しかし、海面養殖は主に漁協が免許を受けて組合員に行使を認めるという形で行われているが、住民票や地元漁師の合意が必要でなかなか簡単ではない。
そこで、いま注目を集めている陸上養殖は人工的な環境で水を循環させる閉鎖循環式という方式で、管理もできるし、魚類の成長スピードを制限して生産性を高めることができるという。
これは、従来の一次産業である漁業の工学化を図るものであって、安定出荷が可能であるし、場所さえあれば拡げることもできる。
導入されても安くないし、運転コストも高いが、施設の改良を進めることもできるので、陸上養殖は増えるものと見られている。
私は、かつて十年ほど前長崎県の大島造船が副業的に実施している農産物の工場生産の現場を見たが、農業の工学化であり水量、光量、温度、肥料などの合理化調節によって農作物(トマトなど)の安定供給が可能となるという。
魚類の陸上養殖も似たようなもので、水産業の工業化とも言える。
農業や水産業の工業化は今後も日本産食材の世界的需要増大とともに発展するものと思われるので、今後とも国で各般の支援措置を講じて貰いたい。私の言うのは、金の面ではなく、主として規制措置の緩和などの面である。