26・5・6

 法科大学院を出なくても司法試験の受験資格が得られる「予備試験」の志願者が約一二〇〇〇人に達し、法科大学院の志願者総数を初めて上回ったという。

 「質量ともに豊かな法曹人を養成する」のが狙いだったという法科大学院の制度は近頃特に入学志願者が減って一四年春の総数は一万一千人程度と見られている。

 私の理解に間違いがなければ、法科大学院の制度を発足させる時、ここを出ればかなりの確率で司法試験に合格すると予定されていたのではないか。ところが、実際は、この法科大学院を出てもなかなか司法試験には合格しない。そのうち試験回数も制限されるようになる、学校に在籍しているから学費がかかる、というような状態で、簡単に言うと、それ程の魅力がなくなって来た。

 一方、予備試験は本来、経済的事情などを抱えた人向の例外制度であるが、合格すれば法科大学院を終了せずに、司法試験を受けられるし、受験資格や回数に制限はない。合格率こそ、超難関で知られた旧司法試験並みの三%と極めて狭き門ではあるが、終了に二~三年もかかる大学院に行く必要がない。

 こうして、予備試験の志願者が増え、今や、法科大学院は不要といった聲も出ている。

 戦後、米国などに較べ、法曹人口が著るしく少ないなどの理由で、司法試験合格者数を急増して来たが、次第に反対意見も強くなって、年三千人という合格者目標の見直しが検討されている。

 さて、どうするか、も一度慎重に検討が必要である。私は、法科大学院制度は廃止した方がいいと思う。ただ、現在昔に較べて、かなり簡単になっている司法研修をじっくりとやれるようにしたらいい、と思っている。