26・4・26

 鳴物入りで、又、固唾を呑んで成行きを見守られていた日米首脳会談は二十五日オバマ大統領の離日で終ったが、さて、問題のTPP交渉についてはどうなったか。

 二十五日の朝日の夕刊では「TPP日米合意見送り」に対し、読売では、「日米TPP実質合意」がいずれも大見出しとなっている。

 大きなテーマについてこれほど各紙の記事に相違があるのは近頃珍しい。

 本当は、実質的に纒ったのだけれど、鹿児島県での衆議院の補選が済むまでは、結論を明らかにしないでおく、という現政府の意向だとも言われている。そう言えば、日米論戦の進点の一つ牛豚肉の関税は畜産県鹿児島の重要関心事である。

 日米TPPで日本が関税を守りたい畜産品の重要五項目が当初から交渉が難行するものと見られていた。単に経済問題としてだけではなく。

 どうも、日本は尖閣、安保を人質にとられていたような気がする。

 しかし、「尖閣に安保適用」などは当り前である。私は、竹島、北方四島について全く言及のないのは何故か、と疑問に思っている。まさか、もう問題としないかなどと考えてはいやしないと思うが。

 この種の外交交渉は関係国の経済的利害が強くかかわっていることは無論であるが、その利害関係はトータルとしてのプラス・マイナスだけでは片づかない。問題は個々の品についての利害の対立を無視できないからである。

 麻生氏はテレビで、今のオバマの国内支援情勢では、当分は片ずかない、とゆうようなことを発言していた。どうもその趣旨は必ずしも明らかではないが、言うまでもなく日米双方国内事情が強くからんでいる。

 うまいすしは、誰でも一応うまいと思うが、なかには嫌いな魚もある。

 TPPの重要課題について一応道筋がついたにしても、これから詰めるべき点が少なくないようである。米国代表のタフ・ネゴシエイターぶりには関心しないで、日本代表も決裂覚悟で頑張って貰いたいが、同時に個別問題でも著るしい不満を残さないでほしい。