26・4・28
高木彬光の著である。彼が一高時代私の同期生(彼は理五、私は文二とクラスは違う)で作家であり、この作は名前を前から知っていた。
買い置きしていたのを始めて読んだ。懐しい名前が沢山出てくる。これは全くのつくり話か、ドキュメンタリーか、よくわからないが、少なくとも、殺人、(死亡)事件があの駒場の三年間の間に起きた、という記憶はない。しかし、西式の名物はよく知っていて、彼が砂時計を手に裸で水風呂と暖かい風呂とを三分間隔で往復していたことは、今もって眼にまざまざと遺っている。
南、中、北、明の四寮も今は取り壊されてなくなっているようだし、たまに行っても一高の面影はないようなものだが、思い出は盡きない。
失礼ながら、それほどうまい文章とは思えないが、一読した。