26・4・5
花を眺めるだけではなく、蓆や茣蓙を敷き、お重を開いて、ビールや酒を飲み、歌を唱うばかりか、みんなで踊ったりして楽しむのは日本人ぐらいしかいない、とどこかで書いたものを見た。外国のお花見に参加したことはないので、そうかも知れないと思う。
桜前線が今年は遅いとか、早そうだと言っていても、東京では大体四月の上旬には満開となることが多い。不思議な気もするが、自然の欇理だろうか。
長い人生、日本国中何となく歩いて来た私も、丁度桜の季節で花見をしたことをいろいろ思い出す。
北海道の北の外れ、稚内のレーダー・サイトのあった小山の桜を思い出す。札幌の丸山公園の桜も見事だった。北大の植物園や釧路公園の桜も思い出す。弘前城の桜もよかった。白河の南湖公園、勿来の関、東村山、上野、新宿御苑、三溪園、小田原城、後楽園、京都丸山公園、御室仁和寺、嵐山、造幣局(大阪、通り抜け)、吉野、後楽園、兼六公園、小倉公園、偕楽園、とても思い出し切れない。
戦前東京都が贈ったという桜の木がワシントンのポトマック河畔を美しく飾っているという。
パッと咲いてパッと散る桜の花は、いかにも日本の花と言われるくらいのいさぎよしさが称えられているが、そう遠くへ出かけなくても、わが住む成城も少々枯れて来た木があるとはいえ、毎年春に露店もお出、甘酒のふるまいもある桜祭りを見られる。わが家の七本の桜も老いたりと雖も春は忘れずに美しく空の色を深めている。
さくらの花はやはりいいものである。