26・4・3

 久しぶりに水上らしいスリラー物を読んだ。

 十二年間の看護婦生活の末につかんだ結婚生活に酔いしれた仙子は製版所を営む夫音吉に退職金など虎の子の百万円をつぎ込むが、青酸加里で自殺と見せかけられて音吉に殺される。

 まだ一周忌も来ないうちに女子事務員の仲瀬久子と再婚した音吉と久子は因果広報お互いに青酸加里で殺し合うという結末。

 作者の冷たい眼が光っている佳篇