25・11・30

 今月(十一月)二十六日に言い渡された広島高裁岡山支所の判決では、七月の参議院選で一票の格差が三倍を超えた十七選挙区について「投票価値の不平等状態が依然として継続している」と指摘した。

 さて、読売新聞が計算したところ、現行制度を基礎として格差を三倍未満に抑えようとすれば、Ⓐ都市部の定数を大幅に増加させるか、Ⓑ大量の合区が必要になるという。

 すなわち、Ⓐによれば、有権者が最少の鳥取県は現状の定数二(三年ごとの選挙で一名づつ選挙)のまゝで、最大の東京都は現行の一〇から一六に増やす必要があり、三大都市圏で軒並み定数が増え、選挙区の総定数は現行の一四六から一九四に五〇近く膨らむことになる。

 ②、議員一人当りの有権者が少ない県を隣接県と合併して一つの選挙区として合区を行うこととすれば、一票の格差を縮小できるが、合区の対象となるのは一〇県に及ぶ。合区を行った場合は、自分の県から出身者を議員に出せなくなる怖れがあるため、政策論争ではなく、地域対決になる可能性がある。

 さて、どうしたらいか。私は、いろいろ考えて見たが、これといって小膝を叩くような案ではないが、どうだろう一人区や三人区を作ってみたらという案である。一人区は六年に一ペン一人を選出するのである。何も三年ごとに一人を選出しなくてもいい。

 もっとも、裁判はそうであっても、法律はそのまゝ変えずにいるという考え方はないか、である。三権分立であるとすれば、そういう状態があっても仕方がないではないか。前にも書いたが、例えば米国は州の有権者の多寡に関係なく、上院議員の定数は各州二名となっているではないか。