25・11・13

 米国の債務上限問題は世界経済の時限爆弾と言われている。

 これは、全国民に医療保険加入を義務付ける制度導入を進めるオバマ大統領に対して、下院の多数を握る野党・共和党が「大きな政府になると反発」。制度改正を盛り込んだ十月からの新会計年度の予算案を大幅に修正しない限り、政府が借金を増やすことも認めないと強硬に主張している。

 米国政府の責務残高は十月七日には法定上限の一六二〇兆円(一六兆七千億ドル)に到達、それ以上は借金は増やせないため政府の手持資金は社会保障給付などで減り始め、やがて資金は底をつき、満期の国債を払い戻すこともできなくなる「債務不履行」の最悪事態に陥るという。

 米国債は中国が最大の所有国だが、二位の日本も一一一兆円も持っているし、民間の金融機関も大量にもっている。責務不歴行に伴う米国債の暴落で銀行の体力が弱まり、貸し出しを一気に引き締める懸念がある。ドル相場の急落、円高進行は輸出企業の打撃にもなる。

 先般、ワシントンで開かれたG20財務省、中央銀行総裁会議では危機感を強める参加各国が一斉に米国に名指しで解決を迫る共同声明を出した。

 議会における政党間の意見対立、駆け引きは止むをえないとしても、米国国会内での意見の対立が、諸外国の経済などに大きな影響を与えるならば、充分反省して貰いたいと思うのは、当り前ではないか。