文科省は今年(平成二十五年)三月に堀越学園に解散命令を出した。堀越学園は創造学園大と専門学校、幼稚園を経営する学校法人であったが拡大路線が失敗し、教職員給与の遅配や大学設立時の財務書類の改ざんなどの不祥事も続出していたのであって、これにより大学などは廃止された。解散命令は四例目であったが、学生などが在学する大学を抱える大学としては初のケースである。

 現行の私立学校法では、問題のある学校法人に解散命令は出せるが、悪質の法令違反が発覚しても、任意の行政指導しか行えない。

 私立学校法は〇四年にも改正され、財務情報の公開が義務づけられたが、同法は善意に基づかない学校運営は想定しておらず、その後も不祥事が相次いでいる。

 私学学校の法人としての運営の責任は理事会にある。学校運営の基本は理事会において決められることになっている。

 私の経験によれば、理事会の運営は理事長並びにこれを支える法人事務当局の決定が事実上支配することが多く、理事会は形式的なものに墮することが少なくない。というのも、理事の人選の段階で、既に理事長を問題なく支持する人を選出していることが多いからである。

 文科省の監督も実際に理事、教員などの人選に立ち入ることは控えているので、各省の審議会運営に見られるように、そもそも人選の段階で審議会の運営は理事長側の思惑通りに行なわれるように手筈が整っているところが少なくないのである。

 株式会社は株の数が採決の決め手となるし、公開している株の株主は会社の自由に変えることはできないが、学校には株主が存在していないので、理事の差し替えは現理事長サイドの思うまゝになることが多く、そうして成立した理事会の運営は理事長一派の思うまゝになりうる。そこが一番大きな問題なのである。

 私立学校に官側が無暗に干渉することは無論よくないが、学生の教育に重大な関係のある学校の運営が、一部の人の利益のために勝手に行なわれるようになっては、学校教育の基本がゆらぐことになるので、文科省も放置できない。そこで学校法人法の改正の問題が持ち上がってくるのである。

 私立学校運営の実態をよく調査し、適切な法律改正を速やかに実施すべきであると思う。