25・9・25

 昭和十一年東京巨人軍がスタートした時からずーっと巨人ファンである。その二年前米国のプロ野球の選手が初めて来日した際、横浜に住んでいた私は午後に始まるのに朝の九時頃から横浜球場のスタンドに立っていた。ベーブルース、げーリッグ、ゲリンジャーなどの勇姿を見て㐂しかった。この試合ではベーブルースがホームランを三本打ったし、米国軍は十一本のホームランを打った。まるでとまっている球を打つように、ポンポン場外に飛び出して、ホームランになる。日本側もつられるように三本のホームランを打った。

 本場のプロ野球とはこんなものか、という印象は長く消えなかった。

 それにしてもファンというものは、本来ひいきにしているチームが勝とうと負けようと変らないもので、いわば宗旨のようなものである。

 私は、いまでもスポーツ欄は先ず巨人の成績から見る習慣は変らない。今は、阿部はよくやってくれると感謝しながら、知っている試合結果を又しみじみと眺めるのである。

 ただ、私は、巨人軍の戦いぶりに全面的に賛成はしていない。一度巨人軍の監督をやらせて欲しいと思う。全国高校野球ではあるまいし、勝てばいい、と言う野球は見ていても楽しくはない。四番にバントをやらせるような野球は巨人軍としてはみっともない。負けたってファンはかわらないのである。正々堂々と打ちたせてやりたい。四番でバントをやらされて誰が嬉しいものか。いやいややらされるから失敗が多くなる。芸がないなどとは決して言わないから、皆思い切ってふっとばすように励ましてやって欲しい。少くとも日本の野球よりは米国のプロ野球の方が、スポーツらしく、明るくうつる。

 勝ち負けにばかりこだわる野球は本当にみみっちいと思う。止めて欲しい。