25・8・8
安部内閣は目玉政策の一つとして人事局の設置を挙げている。各省庁の局長以上の幹部人事を掌握し、政治のリーダーシップの下に官庁の縦割りの壁を排した改革を行うことを狙いとしているという。
アメリカではホワイトハウスや各省庁の幹部は政治任用で任命され、大統領選で支持政党が変ると幹部官僚は従前の党と関係の深いシンクタンクやウォール街などの民間企業に移り、その後政権が交替すると再び政治任用によって行政府の然るべきポストにつくという形ができている。回転ドアと呼ばれている。
日本でも各省間や民間との人事交流がないわけではない。各省庁の人が兵隊にとられたり、復員したりしていたことも関係していたと思うが。
今、それでは、大々的に政治任用を増やす必要があるのか、と聞かれれば、私の答えはノーである。
というのも、今のまゝで大きな弊害が認められないからであり、縦割り行政の弊害は確かにあるが、これは担当する人間のせいではなく、専ら組織権限の問題だと思える。
有能な行政官の知識と経験を生かすためには、それを指揮する政治家も能力がなければならないが、そのような行政官の能力を充分に発揮させる方途をもっと検討し、実行するべきで、人事局の設置のごとき外形的な改革は眞の意味における改革にはならないし、止めた方がいい。