25.6.3
いつの政権も行政改革を言わなかったものはないと思う。行政改革という政策を打ち出せば、充分と思っているのではないか、と思うぐらいに、実績を残していなかったのも事実である。
私は、日本の行政組織、官僚機構が他の先進国に比べて、決して見劣りのするものではないと思っている。各国の実態について十分承知していると言う自信は持たないし、その辺りはこの種の問題を抱えて日頃研究を重ねているであろう学者、研究者に委せておくこととするが、かつて米・英・仏など各国の予算編成制度について調査を命じられて、報告書も提出したが、その際もそう思ったのである。
私は大蔵省の役人を二十数年やって、いくらか、政治、行政の歯車の実際の回り方を見て来た。そのいわば現場の知識、経験からいくらかものを言ってもいいのではないか、と思っている。
ところで、行政改革の第一歩は組織の明確化と規制の簡素化であると思っている。
以前と比べて部課の数が増え、名称だけでは何をやっているのか、よくわからないところが増えた。職員の平均年齢が高くなって、なかなか辞めないので、管理職のポストを追加する傾向がある。外部からはよくわからないので、物を尋ねたくても文句を言いたくても相手方がわからないということになる。私のように長年のこと役人暮らしをして来たものでもそうだから、一般の人には尚更のことだと思う。
名称だけではない。どういう仕事を担当しているのかを明らかにして開示して貰いたい。個人情報の問題ではない。
本質的に大事なのは規制の改廃である。何かあると直ぐ役所のせいにする国民の側にも責任があると思うが、何事に限らず規制が多すぎるのである。一々例示はしないが、昔よく言われたのは、バス停の位置を十メートル動かすのにも陸運事務所の許可が要るということである。そう言っては当りさわりもあるが、どうも役所は下に行くほど四角四面の意見を言うし、自説を固執する。