京都の料亭の女系の家庭に生れ育った美しい三人の姉妹の生き方についてこういうものを書かせたら流石という渡辺淳一の小説である。

 古い京の街を飛び出して銀座でバーのママとして自立しつつ愛に目覚めて行く頼子、夫とは離婚をし、ひたすらな恋に生きる里子、迎えた婿に飽き足りず、結ばれた商社の重役の子を生んで、若さのなかで揺れ動く槙子。それぞれの生活の軌跡を描いている。

 かつて短いながら京都に勤務した私にも懐かしい風物が展開されるので、楽しく一気に読み通した。