25・5・16

 私は、京都、北京、パリは世界の古都だ、と思い、そこのどこかに骨を埋めたいな、と思っていたことがある。

 たまたま、それぞれ短かくはあるが、京都、北京に住む機会があった。

 公共事業を締め出した共産党の蜷川府知事は、今となってみれば、先見の明があったとも言えよう。金鵄勲章を裏返して背中に貼ってやりたいような気がする。

 昔の北京を芥川龍之介は森の都と評した。城壁に囲まれた、アカシアの並木の本当に美しい緑の街であった。

 戦後、北京でお会いした翏承志中日友好協会の会長に何故あの城壁などを崩したのですか、お宅の土地は皆国のもの、新しい都が造りたけりゃ、あの城壁の外にいくらでも大きなものを造ったらよかったではないですか、と言ったら、私も、そう思うとの返事だった。

 古いヨーロッパの街の中でもやはりパリは何と言っても歴史の重味を感じさせる文化と美の街である。何べん訪ねても飽きない。

 かつてパリにマンションの一部屋でも買って住んでみたいと思ったが、果せそうにもない。

 あゝ三つの古都。