「父ありき」 25・5・15 小津監督のいいところがよく出ている作品である。筋らしい筋はないが、父と一人息子のほのぼのとした交情も、そして親子らしいシャンとしたところも表われている。 笠智衆が父、佐野周二が息子である。 戦前東部第六部隊で佐野軍曹が週番下士官として営庭でさっそうと点呼をとっていたことを思いで出す。あの頃は、戦争もまだ灰色ではなかった。