25・5・2
父親の強い反対にさからって駆け出しの映画脚本家(香川良介)と駆け落ち同然撮影所のある京都に住む様になった妻(乙羽信子)が夜なべなどをして貧乏生活に耐えていた。才能に見切りをつけ京都を離れ東京に向かうという夫を励ます。再三脚本の書き直しを命じられてやっと映画になれるいい作品になったと所長に言われた時は、妻は血を吐いて倒れる。その妻は夫の感謝の言葉を聞きながら、抱き締められて息を引きとるという、いささか絵に書いたような人情物語である。
時は既に空襲警報下にある京都が舞台である。
新藤兼人を惚れ抜いた乙羽信子との実生活がバックに濃くうつる作品である。今見れば素直に過ぎる愛妻物語であるが、昔はこれで良かったのだろう。ちなみに乙羽信子は米子の出身である。