25・4・7
いわば川端康成番の維誌記者として長年氏を間近に見て来た人の纏めた川端氏の追憶を9人の知人が綴ったものである。
題の「瞳」は人をじっと見詰めている時の川端氏の瞳は本当に人でも物でもその本質を見通すような、何とも言い表せない力をもっていたことからであろう。
作家としても高校の先輩とも尊敬していた氏に私が銀座のバアでお会いした時の印象もそうであった。
ノーベル賞作家としての世界的な評価も得た氏が何故自裁しなければならなかった、かは誰にもわからないだろうか。結局は自分独りしかいないのだ、ということに思いの到った氏がもうこの辺でと人生におさらばしたくなったのではないか。