25・3・30

 学生時代から草野球のピッチャーをつとめていた私は、根っからの巨人ファンである。昭和11年東京巨人軍がスタートした時からラジオで、テレビで巨人が出るとなれば試合を聞いたり、観ていた巨人ファンの1人であるが、高校野球も楽しみにしている。

 あれは、昭和8年であったか、小学校の頃に甲子園で中京・明石の両中学が00でついに25回目で中京が1点を入れ勝った試合、5時間余にわたる死闘をずっとラジオにすがりついて聞いていた。手作りのスコアブックが書き切れず、紙をつぎ足して〇を並べたことを思い出す。

 甲子園には戦後、地元鳥取の高校が出場し、その応援でよくかけつけた。朝日新聞の桑田君という私の中学(横浜一中―希望ヶ丘高校)の後輩が甲子園の夏の大会の責任者になっていたこともあり、早目に出かけて他の試合は貴賓席で、地元高校の試合がはじまってからはアルプススタンドで応援団と一緒に応援した。

 今は選抜の大会をテレビで楽しみにしている。高校野球はプロの野球と違って、本当にきびきびと投げ、打ち、走るのでテンポがいい。日本のプロ野球は時間がかかり過ぎると言われる。米国の球場で大リーグも観たことがあるが、たしかに日本よりはポンポン試合が進むようであった。

 その高校野球で注文をつけたいことがいくつかある。 

 一つは、一球一球監督が打者にサインを出しているケースが多いようであるが、プロだってサインどおりには動けないのに、高校生はなおさらだと思う。もっと、打者に選択の自由を与えたらいいと思う。例えば、バントさせようというなら、それはいいが、いつ打つかは打者に委するようにしたらいい。

 一つは、何対0で負けて、回も67回に進んでいるのに、一死一塁や一死二塁で何故バントさせるかである。1点をとったって負けは負けで、勝たなければ同じなのだから、もっとランナーを溜めるか、積極的に打つようにしたらいいのに、と思う。

 そして、ランナー二塁で一死の時にバントを命じたりするようだが、假にサードに行けても二死となっているので生還の確立はバッターが三割打者でも三分の一以下、もし一死二塁で打たせれば生還の確率は上って三分の二ぐらいになる。

 その話をある宴席であって張本さんに話したら、そりゃそうだ、テレビでしゃべってみようとお世辞かもしれないが、喜んでいた。

 ともあれ、若い力がぶつかり合ってさわやかな試合を見せてくれる高校野球を、サッカーを見るのも結構だが、見て欲しいと思っている。