25.3.17

黒田東彦アジア開発銀行の総裁が日銀総裁となることが決ったようである。事前にこれ程日銀総裁の人事がマスコミの話題となったことも、政界でもめたことも珍しいのではないか。

私は、かなり前から人に尋ねられれば、黒田君かな、と答えていた。理由は消去法で彼が一番抵抗が少ないだろう、ということであった。詳しくは省略する。

だだ、黒田氏は「デフレ退治のためなら『何でもやる』と宣言している」と新聞に書かれている。その気持はわかるが、日銀の使命はデフレ退治ではない。新任とあって気負った気持はわからないでもないが、「何でもやる」という表現はいささか不穏ではないか。

日銀の独立性が昔から言われ、歴代総理もそれは日銀の専門事項でありますから、などと、例えば、公定歩合の問題などは答弁を避けていたが、私は、日銀総裁が政府の任命であることなどからして、日銀に終局的な独立性はないと思っていたし、日銀が時の政府と政策の関連なしに行動すべきものではない、と思っている。

それだけに、デフレ退治のため施策を盡すことはいいとして、「何でもやります」という表現は不穏当と言わざるをえない。せいぜい、「できるだけのことはする」程度でいいのではないか。何も一人で被るようなことはない、と思うし、そういう性質のものでもない。