24・11・19
曽野綾子の近著である。続けて彼女の「幸せは弱さにある」を読む。
曽野さんに菊池寛賞を受賞されたお祝いの手紙を送ったら、近著を数冊戴いて恐縮した。早速読む。彼女の本はおおむね活字が大きく、何よりも読み易く、年寄りの私には有難い。近頃、上下二段に組まれた文庫本などは、まず敬遠したい気持である。
彼女の文章はピカピカした言葉や美辞玲句はなく、大抵は素直に頭の中に入ってくるので、それだけでも読む気がする。
この二冊のうち、後の方はカトリック信者としての彼女の聖書の話で、今まで読んだことのない聖書にまつわる話が多く、興味深かった。
その中で、「『明日、最期の日がきてもいいように、今日一日を自分らしく生きなさい。もう何も失うものはないのだから』と、私にはパロウがそう言っているように聞こえます。」というくだりがあった。私は、常日頃「一日生涯」という言葉をモットーとし、求められれば色紙に書いている。その気持である。
前の一本も、私は全く同感である。この年になってもと思うこともあるが、せめて残された短い人生の期間は、従前と変りなく働き、出来ることは世の中の奉仕のために盡したいと考えている。外面の話ではない。