24.10.11

寂聴がまだ瀬戸内晴美時代の小説で、昭和四二年の出版と奥付にあるから、今から四〇年以上昔の作品である。男女の愛慾の物語で、彼女自身の烈しい息吹がきこえてくるようなところが出ている。こういう状態を経て来たからこそ彼女自身の出家の土壇場が到来したかとうなずけるような作品である。