24・10・13

 中国政府が、尖閣諸島の領有権を主張しているなんて知っていなかった日本国民が多かったのではないか、と思う。

 それが、石原知事の都による買収の意思表示が一般国民の支持をうけて、たちまち10数億円の寄付金が集る、ということになったが、途端に中国側から領有権を主張して、問題が日を追って大きくなった。

 中国側は、連日漁船のみか公船を多数出動させ、屡々接続水域から、日本の領海にまで入り込む、という示威運動を始め、日系企業に対する様々な妨害活動を容認するのみか、日本品不買運動の黙認、日本企業による輸出入業務の故意のチェック強化、そして近くはIMF・世界銀行の大会への関係大臣などトップの出席拒否など、まことに様々な大人気のない嫌がらせとしか思えない行為を頻発しつづけている。

 も一つ、思惑外れのことがある。民主党政府は、明らかに東京都の尖閣諸島買収を阻止しょうと、急遽、国有化の意向を表明し、ロクスッポ検討もしないで、持主の言いなり通りの金額205000万円で島を買収することにした。

 政府は、都が所有することになれば、例えば、灯台を建てたり、ヘリポートを造ったり、接岸施設を整備したりして中国を刺戦するようなことになると思ったのか、俄かに国で買収することにしたとしか思えない。しかしその思感は外れて、都が買収するよりも、一段上の国が買収するとしたように受けとられ却って一層中国を刺戦したようである。

 それと、永い間大人の対応か何か知らないが、誰も上陸すらさせないようにしておけば、平穏に済むと思って来たのが、間違いである。この点については、今の与党だけの責任でないことは無論で、その間、事なかれ主義で過ごして来た自民党も大いに責任をとらなければなるまい。

 この間聞いたある人の話では、昭和27年に日本が独立した頃、かの辻もと参謀が竹島に上陸したことは事実らしい。無論、彼は追い帰されたが、その後ビエンチアンからヴェトナムに入国し、その後行方不明になった、ということである。その頃、もっと問題を明らかにしておかなかったのは、日本側の重大な落度と言わざるをえない。何の、あれっぽっちの、何の役にも立たない岩だなどと言う人が、日本側にもいることは甚だ残念でならない。

 ソロバン玉を弾いて、日本の経済活動に大いに支障が生じているから、穏便に対処した方がよい、というような見解はもっての外で、それこそ金で領土を売るような行為と思われても仕方があるまい。