24・9・29
去年の発刊などで、際物ではないかと思ったが、読み始めてみると、そうでないことがわかって来た。日清戦争後も東洋に植民地を求めて東進を続ける帝政ロシアの野望が燃えて日露戦争を辛勝した日本が立たなければロシア帝国が清国とともに満州に続いて朝鮮を簒奪することは確実であった。東洋の国が膨張を続ける西欧の国々に敗れて植民地となって行く激しい流れをくい止められたのは幸せと言はざるをえない。
この本はその頃の朝鮮と併合後の朝鮮の経済情勢その他生活情勢の大へんな差を具体的に述べ、如何に西欧各国と違って日本が朝鮮のためにわが身を削って努力して来たか、を記している。
戦前短い期間ではあるが朝鮮をいくらか知っている私も、改めてしる事実に認識を新たにすることができた。多少荒いが、読み甲斐のある一本である。