24・7・27

 アガサ・クリスティの最も有名な推理小説の1つである。

 イスタンプール(トルコ)とカレー(フランス)を結ぶ国際列車オリエント急行は豪華さで知られているが、この小説もその名を更に世に広める役をしたとも言えよう。

 大雪のためユーゴスラヴィアの山中で立ち往生した豪華国際列車、オリエント急行のコンパートメントの一室で発生した殺人事件の犯人を捜査するのは、この列車に乗り合わせた列車会社の重役ブークに依頼された、お駲染エルキュール・ポアロである。

 ポアロの灰色の細胞(頭脳)を搾っての結論は完全にアリバイのあるコンパートメントの乗客12名の凡てが犯人であるとするものであった。

 しかし、鉄道会社の重役がこのポアロの結論の前に第一の説として出した、犯人は停車中に外部から侵入して殺人を行なったという結論をユーゴスラヴィアの警察に報告することにポアロは賛成をするという筋。

 舞台や登場人物の華やかさ、結末の意外性は本当に素晴らしいものである。

 かつて、学生の頃ペンギンブックスの原書で読んだが、当時早川ミステリーの翻訳本は原書より高かった。訳者は違うが、懐かしい1本である。

オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)/早川書房
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