24・7・11

 20年も昔に買ってあった小川洋子の本を読む。若くして夫と別れた「わたし」とたまたま知り合った速記者「Y」との愛の物語である。速記で走らせる「Y」の指が2人を繋ぐ。「わたし」はひどい難聴で病院に通う。いろいろ聞こえてくる音に苦しみながら一図に「Y」の姿を追い求める。難聴についてわたしのしゃべる言葉を「Y」は速記して行くが、それが終ったところでこの小説が終る。

 こう書いてきても、この小説の持つ不思議な零国気を伝えられないもどかしさを感じるが、女性でなければ書けないような感覚を知る。

余白の愛 (中公文庫)/中央公論新社
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