24.6.21

六月十六日野田首相は福井県西川知事の同意を得て、懸案の関西電力大飯原発三、四号機の再稼働を決定した。

昨年三月の東京電力福島第一原発の事故以来、定期検査で停止する原発が相継ぎ、現在国内50基(廃炉に決定した福島第一原発4基を除く)の原発は、北海道電力泊原原発三号機が55日に運転を停止以来、国内では42年ぶりに原発0の状態が続いていた。

原発の利用をめぐっては、申すまでもなく国内の世論は大きく割れているが、世界的にみても全面廃止を決めたドイツなどの諸国から発電の主力を原発に頼るフランスなどまでその取扱方針には大きな差がある。

化石燃料などエネルギー資源に恵まれていないわが国は、従来の方向としては原発のウェイトを高めて行くことになっていたが、事故による反省において、今後もその方針を継続して行くのか、将来の全面廃止をも見据えて漸減の方針に切り換えるものやら、世論は定まっていない。このままの原発停止の状態を続けるならば、電力需要期の夏場を向って、とくに関西電力などでは。大きく電力不足の状態に陥り、強制的な電力カットによる産業生産力の大幅な減退も避けられない見通し、という現実にどう対応するか。という問題を抱えて、政府の大方針も定まっていない。

検査ずみ停止原発の再稼働は、その間にあって、早急に結論を出すことを迫られていたが、ここに大飯原発三、四号機の再稼働の決定は大きな意味を持ってくる。

野田総理は、この決定に当って、福島第一原発のような事故は絶対に起こさせない前提のもとに国民生活を守ることを決断理由としている。

それは、よろしい、その通りである。しかし、さらば、原発問題についてのわが国の最終的な方針をどうするのかは、まだ決定されていない。その状態での、今回の大飯原発再稼働の決定である。

これで、宜敷きや、である。それこそ早急に衆議を尽して決定すべきではないか。

私は、前から言っているとおり、原発廃止反対である。比較に問題があることを万々承知であえて言う。時に悲惨な航空機事故はあっても、航空機廃止を言い出す者はいないではないか。