24.6.19

嘗て一世を風靡した大女優(グロリア・スワンソン)がとてつもない大豪邸に住んでいたが、ふとして知り合った映画の若い脚本家(ウィリアム・ホールデン)にオスカー・ワイルドの「サメロ」を演じる夢をかけて自宅に迎い入れ、贅沢な風装も整えてやり、気儘な生活を味わわせる。

が、捉われの身となったような彼は、結婚の相手も決まっている二十二才の娘に恋を打ちあけられて、悩んだ挙句、宮殿のような家と元大女優に別れを告げようとして、ピストルで撃たれてプールの底に沈む。さてさて、ハリウッドの大事件というので山のように押しよせた記者やカメラマンに囲まれた彼女は、スタジオの昔に戻った演技を、もと彼女の数々の映画の監督で、彼女の最初の夫で、今は、それでも別れ難く彼女の家の執事をしている男の「アクション」のかけ声のもとに二階から階段を下りてくる、というテスト・シーンは泣かせる。

まことに「祇園精舎の鐘の聲、諸行無常の響きあり、娑羅雙樹の花の色、盛者必衰のことはりをあらはす」である。



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