24・6・12

 戦前、小説新潮で読んだ舟橋聖一の小説の映画化をDVDでみる。

 旧華族出身の主人公(木暮実千代)が直之(柳永二郎)を婿養子として迎えて結婚するが、女遊びの毎日で放蕩の彼に愛想をつかす。幼馴染の琴の師団方哉(上原謙)を愛しつつも、身体で繋がれた直之と別れられない。その葛籐に耐えられず、逐に最後は芦の湖に身を投げるという結末に終える。

 溝口監督らしい黒白のすぐれた場面の見られる作品であるが、どうも戦後の今見ると、何となくテンポが緩くて、今一つという感じがある。木暮は本当に美しく、役柄。柳はやゝミスキャスト。上原は若々しく、やはり二枚目。戦後、彼の二度目の結婚披露宴に招かれて、私も祝辞を述べたが、そこに小さい児もいた。加山雄三が息子に「何であんな赤ん坊が叔父ちゃんなのか」と尋ねられて往生したと、笑っていた。そんなこと思いだした。

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