24・6・11

 ときは国の特別天然記念物であるし、絶滅の恐れがある野生動物なので、とくにこれを保護し、中国から一組のオス・メスを贈られたこともあり、人間の力で繁殖し易い環境を作ったりして、数を増やす努力をしてきた。その甲斐があって、今は佐渡トキ保護センターや東京の多摩動物園など合わせて約200羽のトキが飼育されている、という。

 かつて、率直な物言いで知られている高峰秀子さんが、その著書のなかで、そんなにトキを増やしてどうするのか、今にカモなんばんのがわりにトキなんばいでも売り出そうというのか。死ぬものは、死なせたらいい、といったようなことを書いていた、とどこか新聞で報じていた。

 それはいささか、言い過ぎか、なと、私も思うけど、例えば、犬ワシや大ワシの巣がみつかったからといって、何十億もかけたゴルフ場などの開発事業を中止させたり、した例をあちこちで聞いているし、又、埋蔵文化財が発堀されたからといって、何でも開発行為を中止させたりすることも、も少し慎重に検討しなければならないと思っている。

 文化財の重要性を否定するのではないが、人間が生活しての文化財なのであるから、その人間の生活に支障があるようなことを一方的に禁止する必要があるが、どうか、考える必要がある、と思っている。

 私は、戦後の間もなくの文化財保護法の改正以降、いささか文化財の保護には人一倍関心をもって来たつもりである。その一々については省略するが、一種の思想的偏向を持つ自然保護団体の行動には、納得し難い思いがあるので、敢て物を言わせて貰いたい、と思っている。