24.6.13
司馬遼太郎の作(上下)を読む。
正岡子規を取り捲く人々の言動を写してこの作者らしい優れた作品であるが、主人公は子規の死後正岡家の養子(法的には子規の妹リツの養子)となった忠三郎と妻・あや子、秋山真之の友人西沢吉次の次男隆二(たかじ、ぬやま・ひろし)と妻・摩耶子であると言える。
時代は大正から、太平洋戦争を挟んで戦後にわたるが、獄舎に十三年も繋がれながら共産党を除名された、ぬやま・ひろし、こと西沢隆二と旧制二高時代の親友正岡忠三郎との、お互いに、どうしようもなく好きであった友人関係を、司馬遼らしい、外国語などには訳し難いような、それでいて透明な文章で書き綴っている。
上下に二巻、ほぼ一気に読んだ。
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