24・6・3
新派の6月公演「華岡青洲の妻」が四月から東京・三越劇場で始まる。今回は青洲を初登場の三田村邦彦、姑・於継を水谷八重子、嫁・加恵を波野久里子が演じる。
この原作は有吉佐和子のベストセラーであって、既に何回か上演されている。
有吉佐和子とは生前親しくしていたが、彼女を知る前、たまたまこの芝居がテレビで放映された時、見ていた私は、加恵役の司葉子に何となく、私はこの人と結婚するのぢゃないかな、という、とんでもない予感がしたのである。
それから二年後、予感が本物となって、葉子と結婚することになった。後で、この話をすると、葉子は「バカね、私と結婚したいという人はいくらもいたのに。コブ付、カーなし、など一番条件の悪いのにあたっちゃった、とよく言っていた。
有吉は葉子を大へん気に入って、彼女の作品の舞台には、必ず声をかけていた。「紀の川」、「一紘の琴」などである。
その後、彼女は事故で亡くなり、葉子も私の選挙の手伝いで、芸能界から暫らく遠ざかっていたことなどもあって、この芝居とも縁が切れていたが、又一度この芝居の役でみたいものだと思っている。