24・4・30
29の若さで戦死した山中貞雄が監督した映画である。戦前から日本映画史に残る傑作として評番の高い作品で、一度見たいと思っていたものをDVDで見た。
黙阿弥の「髪結新三」の映画化で、出演者河原崎長十郎、中村翫右衛門を中心にほとんど前進座のメンバーである。
長屋の住人たちの生活をリアルに描いたおり、江戸の下町風景の描写も見事であるが、庶民の時の権力に対する反溌と無力感が見事に描かれている(ビデオのケースの裏面の言葉)。
無論、黒白の頃のフイルムであるが、日本以外では作れないテーマであるし、役者はうまい人が演じているので、飽きなかった。質屋の娘として霧立のぼるが登場しているが、戦前、横浜のどこかの舞台で初めて見て綺麗な人がいるものだな、と子供心に思ったことを思い出した。