24・4・17
加藤周一のエッセイである。彼ほど碩学(古いかな)は余り知らない。小島信夫や中村真一郎の書いたものを読んでもそう思うが、3人は私の一高の先輩(1、2年)でとにかく洋の東西を問わぬ読書家ではなかったかと思う。
「夕陽妄語」は積んでいた本の1冊だが、彼の鋭い文明批評(これも古いかな)には感じ入るが、なかに、例えば「歴史の見方」でいわゆる南京虐殺を採り上げているところなどは、やはり反撥を覚える。私は未だにこの事に関して真実を確信させられる状態に至っていない。
私が南京に滞在したのは、事件(?)のあと6、7年経っていたのであるが、いわゆる天安門事件のあと北京で感じたような血なまぐさい風の臭いはかんじられなかったのである。