24・3・10

 古めかしい恋愛文学「マノン・レスコウ」の背景を戦後の混乱したパリにおきかえ、抜きさしならない情熱に燃える男女の激しい愛を描く。奔放な女マノンをひと目見て夢中になった主人公は虚栄を求めて娼婦までしたマノンに振り回される。最後に諦めて汽車で旅立つ男を追って再び結ばれる二人が密航の船から上陸した砂漠で、らくだに乗って襲う強盗の一隊に銃撃されて死んだマノンを逆吊りしてよろめきながら歩く。ついに力つきてマノンを砂に埋め、その脇に添って永遠の愛を誓うという物語り。

 クルーゾー監督の一九四九年ヴェネチア映画祭グランプリを得たモノクロの名作