24・3・3

 小津監督の遺作で、老人平山(笠智衆)の孤独を浮き彫りにしたものである。もと駆逐艦の館長で妻と死に別れた老人が、彼の昔の学校の恩師の一人がやはり妻を亡くしたあと娘(杉村春子)を便利に使い、結局嫁にやりそびれた姿を見て、娘(岩下志麻)を嫁がせ、いよいよ募る独り暮しの淋しさを味わう、というしみじみとした作品である。

 佐田啓二、岡田茉莉子、東野英治郎、三宅邦子、加東大介、岸田今日子、中村伸郎など懐かしい俳優が登場しているが、あらかた故人になって了っている。