2011.11.8

2011年度税制改正で自動車にかかる税の見直しを巡り、関連業界と政府の攻防が始まっている。超円高で疲弊する業界側は、自動車重量税と自動車取得税の撤廃を迫るが、税収減を懸念する財務省と総務省は難色を示しており、せめぎ合いが激しくなりそうである。(11月8日読売新聞)

自動車にかかる税金としては上記2税のほか自動車税、消費税があり、燃料には揮発油税、消費税がかかるので自動車に対する課税を整理統合して欲しいという要請はかねてからあった。

そのうち、自動車重量税は昭和46年自由民主党田中幹事長のときにその要請で作られたものであって、自動車は道路を損傷するからその重量に応じて税金をとったらいいという趣旨であった。高速道をはじめとして道路の開設、維持管理のためには巨額の経費を必要とするが、自分で事業をやっていた田中幹事長は予算をつけるにはその財源を調達しなければならない、ということはわかっていたので、道路の整備を促進するため自動車重量税の創設を思いついたのである。

当時、トン税、特別トン税という税金が船舶に課せられていたが、この税にならって発想したとも言えるので、田中氏は自動車重量税をもトン税と言っていた。当時私は主計局長であったが、高木主税局長とともに砂防会館の田中氏の事務所に呼ばれ、自動車重量税の創設とこの税を経理するために特別会計を作ることを要請された。

当時特別会計は40余もあって、整理をしなければならないと言われていた時であるし、自動車重量税を創設することは賛成したが、特別会計を作ることには反対し、結局これは勘弁して貰った。

田中氏はこの税収の8割を高速自動車道を始め道路の整備に充てるが、2割は国鉄の新幹線および在来線の整備に充てることとし、それを制度上明確化するために特別会計の創設を要望したのであるが、特別会計の創設は認めないが、その建前を明らかにすることにした。そのため福田大蔵大臣が衆議院の予算委員会においてその旨を予算編成方針とすることを明言した。

自動車課税を整理統合することは賛成であるが、道路を損傷する度合いを考えて自動車に課税すると言う考え方は否定すべきではないと思う。