2011.11.1

政府は10月25日国家公務員の給与を平均0.23%引き下げるとした2011年度人事院勧告(人勧)の実施見送りを決めた。これより先、政府は東日本大震災の復興財源を確保するため国家公務員給与を平均7.8%削減する法案を本国会に提出し、これを優先させている。

自民党は人勧の見送りを問題視しており、また人事院は勧告を無視するのは憲法上の問題だと主張している。

そもそも国家公務員は労働基本権が制約され、給与水準を政府側との交渉で決めることはできないので、いわば労使交渉に代わる措置として人事院による勧告制度が認められてきているのであるから勧告を無視することは憲法違反である、という見解なのである。政府は国家公務員の給与削減法案による給与の削減幅7.8%は人勧水準より大きく上回っていることを考え、削減法案が成立すれば人勧の趣旨は生きるとし、人勧実施の必要はないとしている。

人勧は法的な拘束力はないし、過去においても財政難などを理由に人勧の実施を見送ったこともあるから、人勧どおりの法律改正をしなかったからと言って制度自体を無視したことにはならないと思う。

政府の提案している平均7.8%の給与削減法案自体が妥当か否かは別問題であって、私は国家公務員の給与全体がもし過大であるというなら、人員を削減するべきものであって給与水準を7.8%も引き下げることは妥当ではないと思っている。