23・10・23

 パリの下町。下水掃除人の若者チコ(チャールズ・ファレル)はムチで打たれる若い女ジャニィ(ジャネット・ゲイナー)をとっさに妻と偽って救け自宅にかくまう。下水掃除人から街路掃除人に昇格したチコはエレベーターもない古いアパートの七階に住むが、警官が妻帯者であることを確かめに来るというので、彼女をそれまでという條件で部屋に居らせるが、警官が来て確かめたので、帰ろうとする彼女をいとほしく思った彼は引きとめ逐にある日花嫁衣裳を買って、二人だけの式を挙げる。ところが、その途端ドイツ軍がパリに侵入するというので召集令状が届いたチコは運のなさを嘆くとともに毎日11時にお互いに名を呼び合うという約束で別れを告げて前線に出る。チコ・ジャニィ・天国と呼び合う二人であったが、彼女も銃後の工場に動員される。

 その後、チコの戦死の報が知らされ彼女は失心するが、眼を失った彼は帰還し、戦いは終り、彼女は彼の眼になることを誓うという物語りの荒筋である。七階は天国に近いという。

 ジャネット・ゲイナーはまことにハリウットでも珍しい、ういういしい娘役でよかった。音楽のみの、いわいるサウンド版で、昭和で言えば5年(1927年)の作品である。