2011.10.24
橋下大阪府知事が近く辞任し地域政党・大阪維新の会の幹事長松井一郎府議を後任の候補に擁立するとともに、同日選となる大阪市長選に自ら立候補することを十月二七日表明をした。これはダブル選で「大阪都構想」の是非を問う姿勢を鮮明にしたものと見られている。大阪都構想は東京都と二十三特別区をモデルにし、政令市の大阪・堺両市を解体し、府と併せて広域自治体「大阪都」に再編する地方版の政治・行政改革である。ダブル選に勝利し2015年春に都政に移行するシナリオが描かれている。
大阪市は人口で府全体の三〇パーセント、特別会計を含む今年度の予算額は約三兆九千億円で府の約四兆三千億円と肩を並べている。このため橋下氏は大阪全体のトップでありながら大阪市内に対して殆んど口出しが出来ないので、いらだちを募らせ打ち出したのが都構想である。
橋下氏は都政の導入で府と大阪・堺両市の財布を一つにして、二重行政の弊害を解消すれば高速道路の整備や産業振興を効果的に進められると主張している。両市域を一〇又は十二の特別自治区に分割して公選制の区長、区議会を置き、中核市なみの権限と財源を与えることで、住民に密着したサービスを担わせるとしている。
これに対し平松大阪市長は、市がばらばらになり活力が失われると反発しており、市の職員組合の構想に対する反対も強い。
そもそも道府県と県庁所在地の市の間には二重行政の問題が顕在しており、権限争いがしばしば起こっている。博物館や美術館などの箱モノを同じ地域に競って作りあうようなのはその例である。
ともあれ特に府市の間で人口、総生産額、予算額などに大差がない大阪の場合などはかねてから二重行政の弊が指摘されていたのであるから、大阪都の構想の出現もいわれなきことではない。
いっそ大阪府と大阪市・堺市との合体よりも、大阪府内にある大阪市以外の市町村も含めて大阪都を作り、都内を特別自治区に分割する方がベターではないかと思うが、いずれにしても大阪都の構想は検討に値すると思われる。
東京都もいっそ都内の市町村を都に合併し特別区にした方がいいと考えているか、如何。