2011.10.24
米国の郵便事業を担う郵政公社(USPS)の赤字が深刻になり、債務不履行(デフォルト)の危機に陥っている。電子メールなどの普及による郵便の激減に加え、退職者用健康保険のための基金を積み立てる義務が重くのしかかっているためと言われている。人員を四割近く減らすリストラ計画をたてたものの、労働組合の反発は厳しい。政府による救済策の見通しもたたず、綱渡りの経営が続きそうだ。
電信電話事業と異なり郵便事業は各国とも政府の経営にかかるものが多いが、郵便物の集配、差し立てなどに機械化・電子化などの合理的な対策が取り難い点があって、経営効率の上昇を期待し難い面がある。
しかしどのような過疎の地域にも定期的に郵便物を配達するという仕事は近代国家の任務の一つとも言うべきものであって、経営の困難を言いたてて、これを廃止することは困難であり、これを維持する対策が必要であるので、財政的支援も止むをえまい。