23・10・8

 男に尽くす姉(梅村容子)と男を利用する妹(山田五十鈴)を生身の人間として描いたリアリズム映画の傑作(DVDの表紙に書かれた言葉)、一口に言えばその通りの戦前溝口健二が撮った映画で昭和11年度(1936年度)のキネマ旬報ベストテン第一位の作品である。

 世間が「あてらを一遍でも人間らしい扱おうとくれはったことがあるか」と言う妹芸者「おもちや」は芸者なんてものがなければいいと叫ぶところで幕となる。

 あの名監督と評された小澤安二郎に俺にできないシャシンは溝口の「祇園の姉妹」と成瀬の「浮雲」だと言わしめた名作である。