23・9・4

 野田首相は、新内閣の経済財政運営の目玉として首相直轄の「国家戦略会議」(仮称)を新設する方針を固めたという。以前小泉内閣の時の経済財政諮問会議もモデルとするらしい。政官民のスピーカーが集まって予算編成や税制改正、社会保障などの日本が抱える重要な経済財政政策の在り方について議論することは大事なことと思う。賛成である。

 然し、ここで注意しなければならないのは、この会議は政策決定機関であってはならないことである。政策決定は飽くまで内閣の責任であって、この会議ですべきではない。メンバーも関係閣僚、日銀、経済界、労働界の首脳らがそろって参加するという。宜しい。しかし、これらの人は飽くまでも有識者としてであって、それぞれの機関や団体の代表として参加すべきものではない。

 国家戦略会議の決定に拘束されるとならば、きっと二重行政の危険が生じてくるし、そうでなくともメンバーが団体の意見に拘束されては、自由に発言できなくなる。

 政府の審議会等この種の委員会は大体結論を先に出しておいて、(外には示さないが)、その結論に沿うよう意見を纒められるように人選を考えるが、この場合通例となっているのである。

 国家戦略会議はそのようにならないように本当にいわゆる有識者をメンバーとして貰いたい。

 が、繰り返すが、会議の意見は飽くまでも内閣が参考とすべきものであって、この会議の決定が内閣の決定に代わるべきものではない。